私の猫がFIPにかかった疑いがありますか？獣医の診断の考え方と検査プロセスについてご紹介します（非常に重要：簡単な確定診断方法はありません！）

獣医によるFIPの総合的な評価プロセス：一歩ずつ手がかりを集める

FIPの疑いのある症例に直面した場合、獣医は通常、厳格な論理プロセスに従い、さまざまな方法を組み合わせて評価します。（以下はすべての検査を行う必要はなく、獣医が具体的な状況に応じて選択します）

1. 詳細な病歴と基本情報 (Signalment & History)

これは非常に重要な第一歩です。獣医は注意深く質問します：猫の年齢（FIPは2歳未満の子猫と10歳以上の老猫に多く発生する）、品種（特定の純血種猫はリスクがわずかに高いと考えられている）、出所（猫舎や保護施設など、多頭飼育環境から来たかどうか）、生活環境、ワクチン接種と駆虫歴、症状（いつ始まったか、どのように発展したか、具体的な症状）、治療反応（特定の治療に効果がないかどうか）など。

2. 包括的な身体検査 (Physical Examination)

獣医は非常に注意深く全身検査を行います。体温（発熱があるかどうか）の測定、体重と身体状況スコアの評価、粘膜の色（蒼白または黄疸の有無）の検査、リンパ節の腫大の有無の触診、注意深い腹部の触診（腹水、臓器の腫大、または腫瘤があるかどうかを感じる）、心肺の聴診、詳細な眼科検査（FIPは眼内炎症を引き起こす可能性がある）および必要な神経学的検査（神経症状の有無を評価）。

3. 重要な血液検査 (Blood Tests) - 手がかりを提供するが、確定診断はできない

• 全血球計算 (CBC):非再生性貧血、リンパ球減少症、時には好中球増加症などが見られる可能性があり、これらはすべて非特異的な炎症または慢性疾患の兆候です。
• 血清生化学検査:これは非常に重要な段階であり、以下に重点を置きます。
  • 総タンパク質 (TP) とグロブリン (Globulin) の著しい上昇：これはFIPで最も一般的な血液学的異常の1つであり、体内に強い慢性炎症または免疫反応が存在することを示唆しています。ただし、他の慢性炎症性疾患もそれを引き起こす可能性があります。
  • アルブミン (Albumin) レベルが低下する可能性があります。
  • アルブミン/グロブリン比 (A:G Ratio) の著しい低下：低いA：G比（例えば、0.4または0.6未満、具体的な臨界値は研究所と文献を組み合わせる必要があります）は、FIPの診断を支持する重要な手がかりですが、絶対的に特異的ではありません。
  • ビリルビン (Bilirubin) の上昇：黄疸が出現した場合、ビリルビンは上昇します。
  • その他の指標：肝臓酵素、腎機能指標（BUN、Crea）などを評価して、他の臓器が関与しているかどうかを確認します。
• 血清アミロイドA (SAA):SAAは猫の体内で非常に敏感な急性炎症マーカーです。FIPの活動期には通常著しく上昇します。TashikinはF. SAA 検査試薬を提供しており、獣医が炎症レベルを迅速に評価するのに役立ちます。ただし、SAAの上昇は炎症の存在を示すだけであり、他の多くの疾患もその上昇を引き起こす可能性があることに注意してください。それ自体ではFIPを診断できません。 ［F. SAA検査について知る ］
• 猫コロナウイルス抗体価 (FCoV Antibody Titer): この検査はFIPの診断に対する価値が非常に限られており、誤解を招く可能性さえあります！陽性結果は、猫が過去に猫コロナウイルス (FCoV) に接触したことがあることを示すだけであり、無害な腸管型ウイルスか、FIPを引き起こす変異ウイルスかを区別できません。陰性結果もFIPを完全に除外することはできません（特に病気の末期には）。Tashikinが提供するFIP Ab 検査試薬も抗体を検出するものですが、同様にこの制限があり、結果の解釈は非常に慎重に行う必要があり、決して診断の根拠としてはなりません。［FIP Ab検査について知る ］

4. 画像検査 (Imaging) - 病変の「手がかり」を探す

• X線:胸腔に液体貯留（胸水）があるかどうか、心臓の大きさ、肺の状態をチェックするのに役立ちます。腹部X線は、臓器の輪郭が不明瞭または肥大していることを示す可能性がありますが、情報は限られています。
• B超音波:腹部の評価に非常に重要です。腹水があるかどうかを明確に確認でき、腸間膜リンパ節が腫大しているかどうか（これはFIPの比較的一般的な特徴です）を評価し、肝臓、脾臓、腎臓などの臓器に異常な病変（肉芽腫など）があるかどうかを検査し、腸壁の厚さなどを評価します。乾性FIPの診断に特に価値があります。

5. 体液分析 (Fluid Analysis) - 胸水または腹水がある場合は、これは最も価値のある検査の1つです！

B超音波または触診によって猫に胸水または腹水があることが判明した場合（猫の腹水検査）、獣医は通常、少量の液体サンプルを採取して分析します。これはFIPの診断に非常に役立ちます：

• 外観と物理的特性:FIPの滲出液は通常、黄色、粘稠、透明またはわずかに濁っています。
• リバルタ試験 (Rivalta's Test):簡単で迅速なベッドサイドテストで、微量の酢酸を含む試験管の水に滲出液を1滴垂らし、液滴が形状を保ちながらゆっくりと沈む場合（陽性）、それは滲出液であることを強く示唆しています（FIPの可能性が高まります）。
• 生化学的指標:液体は通常、非常に高いタンパク質含有量を持っていますが、細胞数は比較的少ない。
• 細胞学的検査:液体中の細胞は主にマクロファージと好中球であり、リンパ球は比較的少ないです。
• A:G 比率:滲出液中のA：G比率も通常低いです。
• FCoV RT-PCR 検査 (滲出液対象):滲出液サンプルでFCoVのRT-PCR検査を実施し、高いウイルスRNA量が検出された場合、典型的な液体の特性と臨床症状を組み合わせると、FIPの診断を非常に強力に支持できます。ただし、血液PCR検査によるFIPの評価は通常低いことに注意してください。Tashikinが提供するFCOV Ag 検査試薬は、腸内解毒のスクリーニングに使用される糞便中の抗原を検出するものであり、FIPの診断とは直接関係ありません。［FCOV Ag検査について知る ］

6. 組織病理学/免疫組織化学 - 確定診断の「ゴールドスタンダード」（ただし、通常は生前に取得が困難）

最も信頼できる確定診断方法は、手術または剖検によって病変組織のサンプル（例えば、肥大したリンパ節、肝臓または腎臓の病巣）を取得し、組織病理学的検査を実施し、顕微鏡下でFIPの特徴的な血管周囲の炎症性病変を観察し、免疫組織化学 (IHC) または免疫蛍光 (IF) などの特殊染色法によって病変部位のマクロファージ内で猫コロナウイルス抗原を検出することです。しかし、この方法は通常、猫の生存中に安全に実施することは困難です。

7. まとめ：獣医は最終的にどのように判断しますか？

それで、獣医はどのようにFIPを診断するのでしょうか？答えは：近道はありません！獣医はパズルのように、病歴、臨床症状、身体検査所見、血液検査結果（特にタンパク質、A：G比、SAAなどのパターン）、画像検査結果、および最も価値のある体液分析結果（液体貯留が存在する場合）などのすべての手がかりを綿密に統合し、包括的で、細心の注意を払い、除外的な総合評価を行って、最終的に臨床診断（つまり、既存の証拠に基づいてFIPである可能性が非常に高い）を得る必要があります。